電車でいえば都営大江戸線の牛込柳町、大久保通りは坂道の途中にある『白河そば』は、関東では珍しい白だしが名物になっている。
もともとは店主さんが学生時代に寮生活をしていた頃、食事当番だった九州出身の先輩が、アゴダシで白いツユのおでんを作ったのがヒント。オープン時はしょうゆのツユだったが、直火で温めていると味が変わってしまうのが気になり、白だしに変えたのだという。
こちらは店内。オールスタンディングで、注文は口頭でする。実は密かに麦茶が美味しい。
色こそ薄いもののしっかりした味わいの白だしは、うどんはもちろん、そばにも合う。こちらは薬味に青ネギと白ごまが合わせられるのだが、その風味もおそらく一役買っている。麺、ツユ、薬味の婚前とした奥行きのある味わいは、ちょっと他の店では味わえない美味しさだ。
これは一番人気のきざみうどん(570円)。立派な値段だが、それに見合った美味さでお見事の一言だ。
もちろんそばもいい。とろろ昆布そば(520円)にいたっては、ツユの旨味に昆布のダシがプラスされ、まさに旨さが爆発している。
もうひとつの名物が店主さん発案のダチ油。しそ風味の和風ラー油といった感じで、これをツユにたらすと刺激と香りが加わり、なんとも美味い。
店主さんはアイデアマンで、他にもここでしか食べられないオリジナルメニューがたくさんある。
とうふめし(Sサイズで210円)は、牛肉を煮た汁に豆腐を、冷蔵庫で一晩、漬け込んだもの。もともと納豆を出していたのだが、震災の時に入手できなくなり、始めたものだという。とうふめしといえば、日本橋・お多幸のものを思い浮かべるが、こちらは牛肉の旨味がぎゅっと詰まっていて、それよりも濃厚。これにダチ油を垂らして食べると、たまらなく美味い。
さらに670円という強気価格ながら、カレーライスも絶品。まる1日かけて作るこだわりのカレーは、最初の口当たりこそフルーティながら奥深い味わいがあり、そのあとにビッとした辛味が抜けていく本格派。はっきりいって、そのへんの専門店よりも、はるかに美味いのだ。
白河そばは店主さんのこだわりがたっぷり楽しめる名店なのである。
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